漫画好きのひとり言

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夢見が丘ワンダーランド (増田英二) 3話

レストランなどで注文する時に迷う事ってありますね。
美味しそうなのに、お腹いっぱいになって食べられない。
本当はもっと食べたいのに。
 
これまでは諦めるしかなかった。
でも、今は願いが叶う世界。
 
だから卯月律は
「好きなものを好きなだけ食べられるようになった」のだ。
 
好きなだけ食べられると言うことは、
満腹にならないという事でもある。
つまり常に腹を空かしているのだ。
 
律という名のように、
規律に厳しい人間になろうとしていたが、
食欲には勝てなかった。
 
廊下で唐揚げを食べていた獅々見を注意したが、
本当は自分も食べたくて仕方がない。
 
その想いを読まれ、無理矢理食べさせられたが、
その唐揚げの美味しいこと。
すごく美味しそうな顔をして食べていました。
 
あんなに旨そうに食うヤツがいるんだな・・・
獅々見はもっと卯月の食べている顔が見たくなった。
 
学校帰りに食事に誘い、カフェやラーメン屋へ。
下校時の飲食は禁止と校則にあるのだが、
やはり食欲が勝ってしまう。
 
とにかく美味しそうに食べる卯月。
でも腹の音は止まらない。
 
それは満たされていないという事ではないか。
ここで獅々見は訊いてみた。
 
まだ何か我慢していたりしないか?
それはまだ好きなだけ食べていないのか、
それとも・・・
 
卯月は食べ物の定義について語り始める。
それは咀嚼可能であり、消化・分解出来るもの。
それが出来れば食べ物なのだ。
 
宝石を模した飴がある。
卯月も大好きだ。
 
これまでは思ってもしなかった。
でも、その日は確実に匂ったのだ。
水晶に匂いなんて・・・
 
触っても、やはり水晶でしかない。
だから確かめるため、ほんの少し口に入れてみた。
口の中でじんわりと水晶が溶けていく。
まるでいつかの宝石を模した飴のような味で・・・
 
本来食べ物ではないものまで食べられる!
「好きなものなら好きなだけ食べられる」とは、そういう事か。
 
それを聞いた獅々見は、次々と試してみた。
スマホ、劇薬、獣肉、ボルトやナット・・・
何でも美味しそうに食べる卯月。
 
彼女が飢え死にする事なんてないんだろうなぁ。
 
卯月の美味しそうな顔なら、いくらでも見ていられるという獅々見。
それじゃあ、次は何を食べようか・・・
 
卯月は獅々見を捕まえ、大きな口を開ける。
好きなもの・・・好きな者・・・獅々見・・・
きっと獅々見は美味しいだろう。
 
まあ、獅々見に玩具扱いされていた気がしたので、
仕返しに驚かしただけでしたけど。
 
あれ以来、お腹が鳴らなくなった卯月。
我慢することを止めた事で鳴らなくなったようですが、
それは一緒に食べ歩く友達が出来たからなのかも。
 
物理的に幾ら満たしても、
心は満たされていなかったという事かな。
 
じゃあ、我慢は止めたかって?
いやいや、我慢していますよ?
食べたら一緒に歩く友達がいなくなっちゃうから。