漫画好きのひとり言

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絢爛たるグランドセーヌ (Cuvie) Scène.089

奏に電話をしたさくら。
その時にシンデレラを演じると語っていましたが、
役に嵌まる事が出来ずに苦しんでいるようだ。
 
昔からシンデレラという話が嫌いだった。
特に努力もせずに幸せを手に入れるシンデレラが
どうにも気に入らない。
 
主役に抜擢されたのは嬉しいに決まっている。
しかし嫌いな役を踊る不快さもあった。
 
それでも踊る事は出来たが、
心を見透かされたようにダメ出しをされてしまう。
 
クリーンに踊るのは大事だが、
緩急をつけて怒りや焦りを表現してと言われる。
しかしシンデレラの気持ちになれと言われても無理な話。
 
サクラの迷いは周囲にも伝わっていて、皆は心配していたが、
さくらは競争の世界で弱みを見せられないと強がる。
ここにいるのは仲間ではなくライバル。
そんな思いが強いようだ。
 
ノイマイヤーの「シンデレラ」は、踊りそのものが難しい。
それに加えて緩急と言われては、さすがにさくらも厳しいようだ。
しかも彼女が立つ舞台はバイエルン国立歌劇場
憧れの舞台で無様な姿は見せられない。
 
次のリハーサルまでに、もう少しましな踊りにしようと、
夜中まで参考になるような動画を探してみたが特になかった。
 
その時にルームメイトに気付かれ、寝ぼけながら言われたのが
「役・・・ 向いてないんじゃないの・・・?」だった。
 
さくらにこの発言は、かなりショックだったようだ。
目に涙を溜めて、その言葉を打ち消す。
 
向いていないんじゃない 私が! 嫌いなんだよ!!
 
運任せのシンデレラに感情移入できない。
そしてシンデレラが嫌いな自分も嫌なのでしょうね。
 
次のリハーサルは劇場に立つ。
しかもノイマイヤーも来ていた。
緊張の余り、吐いてしまうさくら。
寝不足もあって酷い顔だ。
 
そんなさくらに母親から電話があった。
さくらから定例連絡がないので、心配してかけてきたのだ。
 
さくらが「シンデレラ」で主役をとったと話すと、
母親は連絡してこなかった理由が分かったようだ。
 
さくらの「シンデレラ」嫌いは子供の頃から。
だからきっと今も調子が悪いのだろうと。
 
見事に見透かされたさくら。
それでも嫌いな役でも抜擢されたのだから
踊りきってみせると宣言する。
 
そんなさくらに母は
日本に居る自分にはどうする事も出来ないが、
さくらならきっと大丈夫だろうと言う。
 
自分と似ても似つかない役を演じるのは難しいと思います
でもあなたなら大丈夫 信じているわ さくら
 
その言葉にヒントを得たさくら。
その表情は自信に満ちていた。
(やっといつものさくらに戻ったようだ)
 
スタジオでのリハーサルとは全く違った動きを見せるさくら。
スタッフの目にも、さくらが吹っ切れたのが分かったようだ。
 
振付家の意図なんて知らない
人の心なんて簡単に推し計れるものじゃない
御伽話の主人公の気持ちなんて分からない
自分と似ても似つかないんだから
 
あれだけ悩んだのがバカみたい
こだわる必要なかったんじゃないの
私はシンデレラじゃない 演じるの
 
迷いを吹っ切ったさくら。
更なる成長が期待出来ますね。
奏も負けていられないぞ!