漫画好きのひとり言

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時給三百円の死神 (作画/桐原いづみ 原作/藤まる) 6話

広岡さんの未練は産んだ子供(智ちゃん)の無事を知る事ではない。
本当の未練は子供を産んでしまったことなのだ。
 
夫と初めて会った時、好きじゃないなって思った
医者としては成功していたが遊び癖の抜けない彼は
口うるさい両親に孫を渡したいだけ
言葉の端々からそれがにじみ出ていた
彼にとって私は「大変都合の良い女」でしかないんだろう
 
だからプロポーズされても嬉しくなかった
都合の良い女を受け入れたくなかった
でも断れなかった
 
身寄りもお金もない人生だし
お金さえあればいい
そう自分に言い聞かせて意見もろくに言えない
弱い自分から目を逸らした
 
でもすぐに後悔した
夫は連日堂々と夜遊びをし、
夫の両親はそれを咎めようとしない。
 
自分が変わらなければ どうにもならないと改めて思い知った
自分が嫌い 逃げたい
こんな生活もう嫌だ
毎日そればかりが頭を巡る
 
でも行く当てもない
体の弱い自分が自立出来る自信もない
 
そんななか 命が宿った
もう逃げられない
 
義理の両親は「産むまでで良いからね」
遠回しにそんなことばかり言われた
 
妊娠しても夫の夜遊びは変わらない
自分は産む道具でしかないのだ
 
常位胎盤早期剥離と診断され、
数時間以内に手術しなければ双方の生命に関わると言われた。
 
義理の両親は当然子供の命を尊重する。
母親なら子供を優先させるのが当たり前だ
産みなさい!
 
拒めなかった
そしてロスタイムが始まった
 
死者になって嘘が分かるようになった
だから夫の「仕事で明後日まで帰れない」というのも、
義理の両親の「あなたの体が心配」というのも、
嘘だと分かっていた。
 
だから義理の両親の「子供は私達が育てましょうか?」
という申し出も断った。
皮肉なもので死んでから初めて断ることが出来た
 
それでも義理の両親は諦めない。
何度も預かると言ってくるのだ。
 
だからこう言ってやった
「私はあの子を愛しているから渡したくな・・・」
 
嘘が分かるという能力は、自分の嘘も分かると言うこと。
今、自分が嘘を言った事に気付いたのだ。
あの子を愛していない?
 
利用することしか考えていないやつらに
何でこの子を渡さなければいけないの
あいつらを苦しめたい
嫌がらせをしたい
たとえ全てが無駄だったとしても
 
そこでやっと気付いた
ただ憎しみで動いていただけなんだ
 
ロスタイムが終われば智ちゃんは、
あの義理の両親に育てられる。
それが悔しいだけ
だから産まなければ良かった
 
でも真司はこう言った。

それは無償の愛ではなかったかもしれない。
でも子供を愛そうと足掻いた事実はなくならない
憎しみを上回れなくても
母であろうと戦った広岡さんは十分に母と呼ぶに相応しかった
 
無償でなくても愛が全て消えるわけじゃないですよね
 
真司の言葉には願望も含まれていたかもしれない。
自分の母も無償ではなかったかもしれないが、
愛してくれていたはずなのだ。
 
智ちゃんがいつか天国の母を知ろうとしてくれるかもしれない
真実に辿り着けなくても、母の愛情を汲み取る日が来るかもしれない
そう信じることが この人生を生きた意味になるのかもしれない
 
広岡さんは泣き出してしまった智ちゃんをあやそうとした。
その時、智ちゃんはお母さんの手をぎゅっと握ったのだ。
この感触は本物。
智ちゃんは母を愛してくれているのだ。
 
しばらくして、広岡さんは旅立った。
智ちゃんが無事に育つならそれでいい
そう言って旅立っていった。
 
ロスタイムとは悔いだらけの人生と向き合い
その中からちっぽけな幸せを探す時間なんじゃないだろうか
 
広岡さんが実家の両親と同じ墓に入ったことを確認した後、
海に寄った真司と雪希。
真司は雪希に死神のバイトを始めた理由を語っていましたね。
 
離婚した時に、自分の親権を放棄した母親。
でも怒りよりも驚きが強かった。
親も1人の人間なんだと気付いた。
 
今、母親はどんな生活をしているのか知りたくて、
このバイトを始めたのだ。
雪希の事情も気になったが、それは話せる時が来たら
話してくれればいい。
 
雪希はどんな事情を抱えているのでしょうね。
 
そして次の依頼。
これはかなり難しい案件のようだ。
 
十歳にして死者になった四宮夕という少女。
親の虐待が原因のようですね。
未練は親に愛されたいというものなのだろうか
 
そしてこの少女との出会いが、
真司達の運命を大きく変えることになる。
 
ちなみに次号休載