憂国のモリアーティ (原案/コナン・ドイル 構成/竹内良輔 漫画/三好輝) #55
ウィリアムの腕を掴むシャーロック。
ウィリアムを死なせない為にシャーロックも必死だ。
建設中のタワーブリッジの上にいる二人を多くの貴族や市民が見ていた。
その中にはルイスやセバスチャンもいた。
・・・ルイス 本当に良いんだな?
兄が死ぬ事になっても良いのかと訊くセバスチャン。
ルイスは二人の行く末を、ここで見届けると言っていましたね。
理想のために命を捧げてきたし、
兄と共に死ねるのならそれで構わないと思っていた。
しかし兄・ウィリアムは自分の死を望んでいなかった。
思えば、いつも兄はルイスが生きる事を望んでいた。
ずっと自分に価値は無い、生きていても意味は無いと思っていたが、
兄にとっては違った。
兄はずっとルイスの存在を肯定してくれていたのだ。
この世界に存在すべき人間なのだと伝えてくれていた。
兄のいない世界で生きていくのは、死ぬ事よりずっと辛い
でも兄が与え続けてくれた人生を、命を易々と手放したくない
だからどんな結末を迎えようと、自分は生きてこの世界見届ける
そしてルイスは想った。
自分の存在を認めてくれる人がいれば、それだけで生きていける
自分にとっては兄だったが、
その兄にも誰か存在を認めてくれる人がいれば・・・
その誰かが彼(シャーロック)なら、きっと・・・
ルイスはどんな運命が待っていようと受け入れるつもりでいますが、
シャーロックに期待している所を見ると、
やはり兄には死んで欲しくないと願っているのでしょうね。
その頃、シャーロックと距離を置いたウィリアム。
もう十分だと、幕を下ろさせてくれと言うが、
シャーロックはそれを許さない。
死を逃げ道にするんじゃねぇ!!
そんなもん只 お前が苦しみから逃れてぇだけだろ!!
本当に罪を償いたいなら苦しみから逃げるな!!!
お前にとって一番辛い道を選択しろ!!!
シャーロックもミルヴァートンを手に掛けたのだ。
ウィリアムと同じ罪人なのだ。
・・・だから一緒に償っていこうぜ
やり方は幾らだってある ・・・・・そうだろ?
シャーロックの言葉はウィリアムに響いたでしょう。
でも彼は死を選んだ。
セバスチャンに合図を送ったのだ。
セバスチャンの狙撃で爆発が起き、ウィリアムの足場が崩れた。
ウィリアムはそのまま落ちていくが、
シャーロックがウィリアムの腕を掴んでいた。
ウィリアムは死なせない。
何故なら友達だから。
ウィリアムの手紙を読んで、
自分は単に計画に必要な駒だとは思われていなかった事を知った。
そして自分もウィリアムのことを
只の解き明かしたい謎とは最初から思っていなかった。
二人は最初からずっと同じ気持ちだった
それなら同じ未来を見る事だって出来るはず
・・・生きろ!!
生きろ ウィリアム!!!
ウィリアムが変えた世界は、きっと生きるに値する世界になる。
この世界を一緒に守っていこう。
そう訴えるシャーロックに、ウィリアムは・・・
君は探偵としてではなく
友達として ここに来てくれたんだね・・・
・・・僕の負けだ
シャーリー・・・
・・・生きて この罪を償う・・・
そんな未来もあったかも知れない・・・
でも、この足場は二人の重さを支えきれない。
このままでは二人とも落ちてしまう。
大切な友まで命を落として欲しくない。
そんな思いから、ウィリアムは手にした剣を振って、
シャーロックの手を払う。
落ちていくウィリアムの表情は実に晴れやかだ。
しかしシャーロックも諦めは悪い。
お前一人 死なせてたまるかよ!!
ウィリアムに向かってダイブするシャーロック。
やっと 捕まえたぜ
・・・リアム 生きよう 生きて俺達は・・・
そのまま海に落ちた二人。
あの高さから落ちたのだから、きっと助からない。
誰の目にもそう映ったようだ。
そして朝が来た。
新しい世界の幕開けだ。
果たして、ウィリアムとシャーロックは?