漫画好きのひとり言

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悪役令嬢転生おじさん (上山道郎) 16話

魔法模範演習から一週間が経った頃、

ランベールとアンナ、リュカ王子がオーヴェルヌ家を訪れていた。

 

グレイスの魔法杖扇を見たランベールが

自分も同じようなものが作りたいと言うので

ヴァルツ親方に本の改造を依頼したのが先週のこと

今日はその魔法杖を仕込んだ本「魔杖本」を受け取りに来たのだ。

 

アンナを呼んだのは

もちろん「攻略」を進める機会になると思ったから

 

ランベールが試しに土魔法を使い、

それを反対属性の風魔法をアンナが使って相殺。

ランベールは魔杖本の使い心地が期待以上で大喜びだ。

 

手に持ちやすいバランスな上に見て下さい

この本の背がページを開いたままで保持しやすいように

綴じ方にも工夫がされていて・・・

はしゃぐランベールでしたが、ここで気が付く。

オホン! 失礼・・・

冷静さが売りの僕としたことが つい取り乱しました

・・・ご無礼を

 

冷静さが売り? 聞いていた皆が疑問に思っていて笑った。

 

アンナとランベール 魔法属性は「風」と「土」で正反対だが

その相性は存外悪くないように見える。

性質が真逆の2人の方が互いを補い合って上手くいくという事も?

リュカ王子に言われて憲三郎(グレイス)は納得がいく所があった。

 

真逆な2人だからこそ合わさると上手くいく・・・

なるほど そういうこともあるよな!

実例はすぐには思い浮かばないけど・・・

 

真逆なグレイスに憑依している憲三郎の事でもあるんだけどねー

「自分 自分」とゲーム画面を見ている娘に突っ込まれています。

 

お茶にしようと、4人で歓談。

ランベールの本「魔法陣入門」は良い本だねと言う話になり、

ランベールは自分のことを語り出す。

 

辺境の貧乏貴族に生まれたランベール。

でも両親は子供の教育には投資を惜しまなかった。

武勇の才に恵まれた兄達には良い馬や武具を与え、

魔法が好きなランベールには「魔法陣入門」を贈ったのだ。

 

この本に書かれた魔法を初めて成功させた時のことを

今でも思い出します 弱った樹に花を咲かせる魔法でした

その時 思いました・・・

この本があれば きっと自分の人生にも

大きな花を咲かせることができると・・・!

 

実に立派な志だ。

憲三郎やアンナは感心していました。

 

アンナに感心されて、ランベールは「いやいや・・・

それをいうなら きみのご両親だってそうだろ ミス・アンナ」と返すと、

アンナも「いえ それは その・・・ あ ありがとうございます・・・」と答える。

 

そんな二人の微笑ましいやり取りを見ていた憲三郎。

おっと・・・ これはいい雰囲気なのでは?

境遇の似ている2人だからな・・・

ランベールルートも現実的な選択肢だ

 

もちろん、この世界は能力次第で身分を引き上げられることもある。

だからシナリオの進行次第ではヴィルジール王子と結婚し、

アンナが王妃になるルートだって有り得る。

 

そんな事を考えていた憲三郎だが、

ここでアンナの食が進んでいない事に気が付く。

具合が悪いのかと思ったが、

初めて見るお菓子ばかりで作法が分からなかったのだ。

 

リュカ王子が「無理もないよね~

グレイスちゃん 教えてあげたらいいんじゃない?」と言うので、

「それは もちろん」と答えたが、リュカ王子の意図はちょっと違った。

 

もうすぐ夏休みなので実家に帰るくらいなら、

オーヴェルヌ家に招いて貴族の生活を実地に教えてあげたらどうかと言うのだ。

 

なるほど・・・ それは名案ですわね!

すっかり乗り気のグレイス(憲三郎)だが、慌てたのはアンナ。

私なんかが貴族の生活を教わっても意味が無いですし・・・

 

しかし、その発言をグレイスは制す

いいえ! アンナ・・・ あなたはまだ ご自分の立場を

よくわかってらっしゃらないようですわね・・・?

乙女ゲームの主人公である)あなたは近い将来・・・

(例えば王子ルートを選んだら)この国で最も高い地位(王族)

加わることもあり得ますのよ?

その時のために最低限のルールやマナーを知っておく必要がありますわ!

 

そう言われて驚くアンナだが、受け取り方が違った。

この国で最も高い地位は王族なのは分かっている。

そして将来の王様はヴィルジール王子で、王妃は婚約者のグレイス。

ということは つまり・・・

 

王妃となったグレイス様にお仕えする

宮廷女官になれると期待されているのでは・・・・・・!?

 

グレイスにそう期待されているなら、応えないわけにはいかない!!

わかりましたグレイス様!

いつか来るその(グレイス様にお仕えする)日のために

全力で上流階級のお作法を・・・きっと憶えます!!

 

やる気MAXとなったアンナ。

動機は違うが、取り敢えずは計画通りと言えるでしょう。

次回は夏休み編!