漫画好きのひとり言

気まぐれに漫画の感想とか

夢見が丘ワンダーランド (増田英二) 15話

それは高所恐怖症の乗客の「早く降ろしてくれ」が発端。

今まで無事に運行していたのがおかしな程、あっさり空飛ぶ電車は堕ちた。

あれだけの事故で死者が出なかったのは、それが誰かの願いだったのかどうかは分からない。

 

それから世界は変わった。

願いに頼らない世界にしようという動きが出てきたのだ。

一度疑い始めると拍車が掛かる。

いくら食べても満腹にならなかった女性が満腹になり、理想のアイドルがいなくなったりした。

まるで世界が夢から覚めていくみたいに・・・

 

弟切紅愛が一家連続不審死事件の重要参考人として手配された。

紅愛の両親は窓や扉が一切無くなった住居で変わり果てた姿になって見つかった。

窓や扉を塞いだ工事の痕跡は無く、そもそも窓や扉があった形跡すら無かった事から、

この住居から姿を消した紅愛の願いによって、そのような形になったのではないかと思われた。

願いで人を殺した場合、殺人罪を問えるのか?

そもそも両親は、ここから出してくれと願えば、その願いが叶うのではないか。

それとも願いで殺してから、閉じ込めたのか。

 

小太郎の知っている紅愛とは見た目が全く違うが、それも願いでどうとでもなること。

茜は小太郎に語る。

願いとは・・・祈りとは 全ての人間が絶望の淵で許された最後のあがきだ

追い詰められた者の最後の祈りがもたらすのは 希望か 奇跡か それとも・・・

 

紅愛は教授と逃亡を続けていた。

彼女は教授さえ傍にいてくれれば それだけで十分だった。

でもそれさえ叶わなかった。

 

紅愛は子供の頃から人には見えないものが見えていた。

それに気付くまでに時間がかかった事もあり、孤立していた。

シングルマザーだった母は、知らない男を招き入れ、いつの間にか戸籍上は父親になっていた。

その男は紅愛のことをサンドバッグと勘違いしているようだった。

誰も助けてくれず孤立していた紅愛だったが、そんな時に同じように見える人が現れた。

それが教授だった。

自分と同じ景色が見える人がいた。 それだけで救われた。 それなのに・・・

 

酔った父親に家の外で暴力を振われている所に、教授が助けに来てくれた。

しかし父親の反撃に遭い、紅愛の目の前で・・・

こうして紅愛の世界は終わった・・・はずだった。

 

世界が変わったあの日 初めは夢だと思った

嫌な奴らがいなくなって なりたい自分になって いなくなってしまったはずの教授が目の前にいる

 

この世界はいつまでの続くように研究したが、研究を進めれば進めるほど気付かされてしまう。

目の前にいる教授が願いで生み出したドッペルゲンガーなのだと。

紅愛には後悔があった。

自分と出会いさえしなければ、教授は死ぬ事も無かった。

 

紅愛の世界は教授だけ? そんな事は無かった。

小太郎とクコが会いに来てくれた。

小太郎は紅愛のことが怖かったが、それは分からないからで、もっと知れば変われると思っていた。

クコは本当のことを教えてくれなかったことを最初は怒ったが、否定も肯定もしなかった紅愛の優しさに気付き、共にいようと誘ってくれた。

紅愛にも寄り添ってくれる者がいる。

 

教授のドッペルゲンガーと一緒に居られる時間は残り少ないので、消えるまでは2人で過ごしたいと告げて別れようとしたが、今度は竜胆がリナリアを返せと襲ってきた。

完全に八つ当たりだが、紅愛は報いを受けたと思った。

刺される覚悟でいたが、そんな紅愛を教授が盾になった。

紅愛の願いが作ったドッペルゲンガーだと思っていたが、そうではなかったのかもしれない。

墓の前で泣く紅愛をただ見ている事しか出来なかった教授の願いが、自分自身を蘇らせたのかもしれない。

 

紅愛は警察に出頭し、願いによる殺人について様々なメディアで討論された。

そして紅愛の過去を知って、同情する者も出てきた頃、紅愛は留置所から忽然と姿を消した。

白衣の男が手伝ったという話だ。

 

水槽の中でしか生きられない人がいるように

僕らはきっと探している 夢を見続けられる自分だけのその居場所を

 

願いが叶わなくなり、絶望している者には白衣の男を連れたロングヘアの少女が手を差し伸べるかもしれない。

何処かにあるはずの楽園を探す旅を一緒にしようと