漫画好きのひとり言

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絢爛たるグランドセーヌ (Cuvie) Scène.084

ネズミ役は大勢いるが、下級生も多く、
10年生である奏はまとめ役として頑張らないといけない。
 
練習が始まり、それぞれが役割通りに演じていく様を見て、
楽しそうな奏でしたが、そんな奏を不安そうにみる下級生がいた。
 
ズーイと言われる子で、他の子が気になって問いかけると、
「ちょっと あの人(奏) 苦手って思っただけで・・・」
 
奏を苦手に思う?
それこそ不思議ですよね。
 
何があったのか聞いてみると、
奏がマーゴ・フォンテインを知らなくてショックだったみたいだ。
ああ、あの時の子かー
 
ロイヤルの生徒として、知っておいた方が良いです
 
ズーイの話を聞いた子が奏にアドバイスしていました。
劇で下級生を引っ張っていく為にも、
ここで呆れられる訳にはいかない。
 
マーゴ・フォンテインについて学ぶ事にした奏。
ヌレエフと共演している動画が残っていたので、
ルームメイトと共に観ることに。
 
20世紀のバレエ界を代表する伝説の二人。
名前くらいは知っていたが、きちんと観るのは初めてだった。
 
古い動画なので映像は荒いし、音も少し歪んでいる。
今のダンサーと比べて足をことさら上げているわけでも
回転が早いわけでもない
 
なのに
 
なんて美しいんだろう
品があるのに 情熱を感じる
振付や音楽も相まって
めちゃくちゃドラマチックだ
 
ロミオとジュリエット
二人の物語が胸に迫ってくる
 
これがマーゴ・フォンテイン
 
動画は4人で観ていましたが、全員が惚れ込む美しさ。
引退間近と言われていたが、
ロシア(当時はソ連)から亡命した
ヌレエフと組んで大復活した事は有名。
 
そんな話をしていて奏が思い出したのが滝本先生の事。
彼女の父親はロシア人、まさか・・・
 
本人に直接伺っていましたが、
さすがにヌレエフではありませんでしたね。
でもある程度、名の通ったダンサーだったのは間違いないらしい。
 
トルスタヤ先生なら分かるかな?と奏が言うと、
今度は滝本先生が驚いていましたね。
滝本先生は、トルスタヤと何度か共演していたのだ。
 
人の縁というのは面白いもの。
ここで奏は調子に乗って(?)滝本先生に質問する。
「マーゴ・フォンテインとも共演していたりしませんか?」
 
呆れる滝本先生。
私のこと、一体 何歳だと思っているの?
親の世代以上に離れているわよ
 
かなり失礼な事を言ったねぇ。
まあでも、伝説のパートナーシップなので、
滝本先生も生で観たかったと言っていましたね。
マーゴ・フォンテインは、やはり凄い人だった。
 
奏は、マーゴ・フォンテインを知らなかった事は
恥ずかしいことだし、勿体なかったとも思っていましたが、
それと同時にワクワクもしていた。
 
こんなにすごいものが
世界には まだまだ
いっぱいあるんだなって
 
そんな奏を見て、滝本先生は、
知らないモノだらけの環境に足を踏み入れても
怯んでいる様子がないと感じたようですね。
 
亡命せざるを得なかったダンサーは、
抑圧を感じてバレエ一つを頼りに新天地に足を踏み出す。
その時の心細さは如何ほどだったでしょう。
 
だから滝本先生は、
奏も心細く感じる事はあるのではないかと思ったが・・・
 
ん~ あんまりないですね
 
さすが奏だ。
それは自分が守られている事を感じるから。
そして滝本先生には言わなかったが、もう一つある。
 
「バレエ」でつながっている大きな輪の中に自分がいるようで
ホッとするし すごく嬉しいのだ
 
歴史のあるロイヤル・バレエ団の舞台に立てるのが嬉しい
 
校長とバッタリ会った時に、その話をしていましたが、
「歴史がある」という所で校長に笑われましたね。
 
フランスのオペラ座やロシアのマリインスキーと比べたら、
ロイヤル・バレエ団はまだまだ若い
 
前身のバレエ団が設立されて100年も経っていないし、
ロイヤルを冠してからは、まだ60年ほど
 
・・・それでは、マーゴ・フォンテインは?
 
彼女のデビューは設立間もない頃。
ロイヤル・バレエの躍進は彼女の活躍と共にあったのだ。
 
マーゴ・フォンテインのおかげで、
今のロイヤル・バレエ団があると言っても過言ではないでしょう
 
これで奏も納得がいったでしょうね。
校内の至る所に肖像があるのも当然だ。
 
ロイヤル・バレエ・スクールはマーゴ・フォンテインに続く
魅力的なダンサーを育て上げるための学校。
それを校長から聞かされた奏。
 
ロイヤル出身のダンサーには凄い人がいる。
自分も続くことが出来るだろうか。
 
希望と不安
二つの思いが奏を支配しているでしょうね
とにかく鍛錬あるのみ!!