漫画好きのひとり言

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絢爛たるグランドセーヌ (Cuvie) Scène.092

いよいよ「くるみ割り人形」の初日。
憧れの舞台に立つのですから、奏もさすがに緊張・・・

全くしていませんでしたね。
わくわくした顔で出番を待っている感じです。
 
レベッカ「メイク終わった?」と訊く奏。
ねずみ役の奏はメイクが不要ですが、レベッカはそうはいかない。
 
メイクの人にチェックして貰わなくてはいけないし、
割と忙しそうだ。
それに気付いた奏は「ごめんね 邪魔して」
レベッカの所から去ろうとするが、レベッカが奏の腕を引く。
 
邪魔じゃない、緊張していて、奏と話が出来て気が紛れたのだ。
逆にお礼を言うレベッカ
新入生の時以来のロイヤル・オペラ・ハウスの大舞台。
しかも初日だから緊張しないわけが無い。
 
初日は特別・・・
下級生をまとめる立場で初日に配役されたのは抜擢だって思っている
 
しかも奏は外国からの転入生
これはそうそうないこと
 
レベッカにそう言われて奏も思うところがあるようだ。
そうなのか それは責任重大だな!
今年の「くるみ」を一番に来てくれたお客さんの前で踊る
 
でも奏はあまり緊張している感じではないですね。
レベッカに言われて気が引き締まったという感じか。
 
こうして「くるみ割り人形」の幕が上がった。
奏達の出番はねずみと兵隊の対決のシーン。
第1幕後半の山場だ。
 
劇中のクララにとっては悪夢のような出来事ですが、
奏にとってはまさに夢の舞台。
 
夢の世界に私はいる
続け この瞬間が続け
もっと もっと長く この光の中に
 
夢中で踊った奏。
想いとは裏腹に一瞬の出来事だったでしょうね。
 
気が付けば舞台袖。
そしてロイヤル・バレエのスター達と
同じ舞台に立てた事を実感する。
 
ずっと夢見ていた大きなオペラ・ハウスの舞台に!
そして舞台では雪の精が舞う。
 
それを舞台袖で見て奏は感動してしまった。
胸が熱い
幸せ過ぎて泣いてしまいそうだ
 
ピーター・ライト版「くるみ」の雪の精
振付 全部わかる テレビの画面を通して 何度も何度も見たから
たくさん真似して踊った 雪の精だけじゃなくて花のワルツも
葦笛の踊りや金平糖の精も
 
でも今日は真似なんかじゃなくて
ロイヤル・バレエ団の「くるみ割り人形」の一部になれた
 
しかも今日だけじゃない
公演はまだまだ続く この先 ひと月以上も
 
感動して涙を流す奏。
それを見てズーイはギョッとし、心配になって奏の手を握る。
そんなズーイを察したのか、奏はズーイに笑顔を返していました。
ズーイもホッとしたでしょう。
 
寮に戻るとエヴリンが「公演はどうだった?」と訊いてきた。
感動しすぎて言葉になんないよー
 
子役は出番が終わったら、終幕を待たずに帰らなくてはいけない。
だからレヴェランスできなかったが、それでも十分感動できた。
 
早く帰らないといけないのに、奏は舞台袖から去ろうとしない。
引き剥がすのにレベッカは苦労したようだ。
 
それは「ずっと あの場にいたかったんだよ」
出番が終わって 舞台にはもう出られなくても
せめて少しでも長く近くにって・・・
クララじゃないけど まるで夢の中にいるみたいだった
 
それにはレベッカも同意。
団員になれば舞台に立つのが日常になるなんて
信じられないよね
 
そこで奏はハッとなる。
あれが日常になるのはヤバい!!
 
奏もプロ志望なんだから、そういう生活が目標のはずですが、
夢物語のような話が、いきなり現実味を帯びてきたのですから、
テンションが上がるのは当然でしょう。
 
もちろんロイヤル・バレエ団に入れるのは年に数人。
選ばれる可能性はゼロじゃないが、かなりの狭き門。
 
もちろん、それでマイナス思考になる奏では無い。
「負けないよ レベッカ!」と実に前向きだ。
 
日常
私の日常も日本にいた頃と比べてずいぶん変わった
お休みでもないのに朝から クラス・レッスンを受けられて
学校の友達はみんなバレエのうまい子達
少しずつ 少しずつだけど 夢に近付いているのがわかる
それが嬉しくて 走る足を止められない
早く 早く あの場所まで
 
その後、借りていた本を返すために自習室に急ぐ奏。
途中で校長先生とバッタリ会って、話をする機会を得た。
 
ロイヤル・オペラ・ハウスの舞台はどうだった?と訊かれ、
最高でした!!と答える奏。
 
あの場所で踊れた事は勿論だけど、
何よりもロイヤル・バレエ団の「くるみ割り人形」の1部になれたことが
凄く嬉しかったと伝えていた。
 
校長は初日という事もあって、元気に踊る奏達にヒヤヒヤしたと言っていた。
ここに集うのはエリートとはいえ学びの途中
未熟な者達をプロの舞台に送り出すのだ
どうしたって心配にはなる
 
だが 君は期待を裏切らなかった
後輩を引っ張り よくやってくれたな
 
このあとの公演もー
いや ロイヤル・バレエ団員として舞台に立つために
卒業まで頑張ってくれ
 
そう言われ、元気に「はいっ!」と答えた奏。
 
しかし、すぐに校長の言葉に引っ掛かりを覚えた。
それは“卒業”。
 
え? 卒業?