漫画好きのひとり言

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さよなら私のクラマー (新川直司) Episode 51

接戦だった。
ルーズボールを拾いに行ったが、
相手が拾い、そのままゴールへ。
このカウンターによる得点が決勝点となり、1-2の惜敗。
 
新戦術を始めて一週間。
それなのに結構形になっていた。
手応えはあったのだ。
 
計算外だったのは相手がベタ引きしてきたこと。
4回のカウンターチャンスの内、2回をものにされたのだ。
 
つまり相手には4回しか攻撃の機会を与えなかった。
相手チームも勝った気がしない試合内容だったかもしれませんね。
 
監督は、この敗戦は得がたいモノだと言う。
自分達の成長を実感しながら
ゲーゲン・プレッシングの有効さと怖さを体験できた。
 
負けるなら、挽回出来る予選リーグが良い。
これで修正点と課題、より強固な規律と臆病さを植え付けた。
 
これを選手に言えば良いのにねー
言わなくても分かる?
それなら良いが、自信をなくしているかもしれないじゃないか。
彼女達に必要なのは監督のその言葉なのだ。
 
案の定、次の日の練習は士気が低い。
そんな中でも宮坂だけが一人気を吐く。
いや、気負いすぎなくらいだ。
 
それを深津が指摘すると、宮坂は言う。
 
そんなにサッカーが好きという訳じゃない。
田勢の勢いに引っ張られているだけ。
だから彼女の情熱と温度差を感じる事もある。
 
ワラビーズに入ったら、
そんな田勢と同じ熱量の者が現れた。
田勢の友達だけど、田勢の仲間じゃない。
 
サッカーが大好きというわけじゃない
でも田勢達とサッカーをするのは大好きなんだ
もうちょっとあいつらとサッカーを続けたい
だから 嫌いな監督にも頭を下げる。
 
私にサッカーを叩き込んでください
 
深津もやっと気付いた。
また同じ事を繰り返すところだった。
ここは言葉をかけるべき時なのだ。
 
宮坂が田勢のようになる必要は無い。
宮坂の冷静な状況判断はチームを生き返らせる。
後方から戦局を見極め、冷静に冷酷に味方の力を量れ。
それぞれの個性で戦うんだ。
 
田勢がチームを引っ張るが、
その田勢が燃え尽きないように支えるのが宮坂の役目。
その為の手助けは俺(監督)がする。
 
そして2戦目
ゲーゲン・プレッシングをモノにした彼女達に死角はなかった。
3-0で新座女子高を下す。
やったね!!
 
深津も嬉しくないわけがない。
勝利こそ最高の薬。
今日という日を忘れることは無いでしょう。