漫画好きのひとり言

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もののがたり(オニグンソウ) 七十一話

命脈は保った、しかしぼたんは連れ去られてしまった。
空気が重い。
 
辻家を襲撃した藁座廻は紅緋によって撃退されていったが、
豊穣を襲ったのは塵外師範の影法師。
紅緋が到着したときには、
すでに豊穣は両腕を斬り落とされ、意識不明の重体。
 
そして紅緋との交戦を避けて影法師は撤退していった。
狙いが豊穣なら、既に目的を達成したという所か。
 
門守代表や婚礼調度達は、討伐隊で唯一戻ってきた者から、
事の顛末を聞いていた。
 
黒檀の裏切りで、こちらの布陣は筒抜け。
唐傘を迎え討つ為に敷いた因獄陣だったが、
陣発動の直前に唐傘の襲撃を受けてしまった。
 
そして唐傘の四体が同時に塵外師範に襲いかかった。
如何に師範といえど、四体同時に襲われては敵わない。
 
まずは師範を取り込んで味方にし、
その後も塞眼を喰らって数を増やしていった。
被害の半分は同士討ちのようなものだった。
 
造兵が立て直しを図ったが、
相手はその為の軸となる塞眼を、先手を打つように喰っていく。
どうにもならなかった。
 
そして椿は・・・
 
強い人でしたけれど・・・
門守代表 覚悟だけはしておいてください
 
マジか・・・
唐傘に喰われたと言うことは、
兵馬の前に立ちはだかるという事か。
 
大敗を喫し、大切な人を失った
“こうすれば” “ああしておけば”
後悔と怒りに囚われるあまり
意味の無い「もしも」を頭の中で繰り返して
自分の内に答えを見つけようとするかのように
自然と俯いてしまった
 
しかし兵馬だけは違った。
真っ直ぐ前だけを見つめていた。
ぼたんを救出する
 
それだけで十分。
余計な事は考えず、今はそれだけを考えるのだ。