漫画好きのひとり言

気まぐれに漫画の感想とか

もののがたり(オニグンソウ) 七十五話

目覚めると身動きが取れず、目の前には唐傘がいた。
自分が攫われた事を思い出すが、目眩に襲われた。
 
やっぱり辛いかしら
ここは現世と常世の境目だから
 
・・・境目? 何を言って・・・
 
黄泉比良坂とか賽の河原とか言われる所。
つまり常世とは、人の言う“あの世”だ。
 
現世で朽ちた魂は黄泉比良坂を通り常世へ渡り
常世で罪を洗い流した魂は再び現世に生まれ落ちるのを待つ
“行き違い”が時に付喪神を生み、時にぼたんのような神隠しを招く
そして唐傘達は洗い流され常世の奥底に堆積した罪――魂の穢れ
その中に生まれた“モノノ怪
 
元より輪廻から外れた唐傘達は現世に“正しく”生まれることはない
しかし付喪神というイレギュラーな形であれば、
こうして躙り出ることも有り得る
 
出来る事なら真っ当に在りたかった
同胞は今も穢れの沼で悶えている
彼らを掬い上げるには 現人神の力で常世の扉を開放し
現世への入口を広げるしかない

たとえ付喪神という誤った形であっても
それが救済となるなら・・・
 
だからぼたんの協力が必要なのだ
 
そう言いながらぼたんに触れる唐傘。
ぼたんはその言葉が嘘だと瞬時に読み取った。
 
仲間思いにも取れる言葉と裏腹に
その手はあまりにも冷たく、その目はあまりにも・・・
 
そう、嘘だ
彼らは穢れなのだ
現世も常世も穢したいのだ
全てを汚泥の底に飲み込んで 皆で苦しみ のたうち回り
一つにとろけ合いたいのだ
 
ぼたんが協力するわけがないですね。
何をされようと譲る気はない
 
これから行なわれる反魂の儀式は痛みを伴う
まずは器にこびりついた長月ぼたんという人間の魂を刮ぎ落とす
少しずつ 念入りに 剥がされていく
 
しがみついていたいなら好きにすればいい
苦痛が長引くだけだが
 
負けない
負けるもんか
私は――
 
反魂の儀式が始まる
 
この時、兵馬達と行動を共にする付喪神は、
何かヤバいものが這い寄ってきている感覚を覚えていた。
 
唐傘も付喪神だが、自分達とは明らかに異なる存在。
彼らは現世に繋がりを求める“現世寄り”でも
器の記憶に引っ張られる“器寄り”でもない
己の在処が常世に根差す常世寄り”
 
それは付喪神のガワを被っているだけの余所者で、何かが違う。
だから“唐傘の侵攻”というのは、まるきり他人事でもないのだ。
敵だ。
 
明らかに強力な敵。
できれば戦わずに静かに暮らしていたかった。
 
でも平和に暮らすためには、
乗り越えなくてはいけない戦いなのだ。
 
やれるだけやる
塞眼風に言えば“お務めを果たすとき”だ。
 
それは魔の手
現世に在る全てのモノに迫り来る
常世寄りの付喪神 “別世界からの侵略者”
 
その前に打って出る!
京都塞眼が保有する磐座から藁座廻のいる境界に入るのだ。
 
そのメンバーは、もちろん兵馬や婚礼調度達。
帰ってくる時はぼたんも一緒だ。
頼んだぞ、兵馬。