漫画好きのひとり言

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絢爛たるグランドセーヌ (Cuvie) Scène.096

土曜日は家族と会うため、補習を受けられないと言うエヴリン。
奏達も誘われたが、家族水入らずの所を邪魔したくないですよね。
 
奏達に断られて「付き合いの悪い」なんて言っているエヴリンですが、
ここで奏に以前から思っていた疑問を投げ掛けてきた。
「奏のとこ家族仲良くないの?」
 
あまり連絡を取っている様子がないし、
公演にも観に来なかったし と理由を言うエヴリン。
 
両親は忙しいし、お金が無いからと伝えると
家族に気を遣っているの?と言われ、ギクッとなる奏。
 
たぶん そういうのじゃなくて 単純に
お金がらみの話 言い出しにくいっていうか・・・
 
日本が昼の時間に奨学金の事で電話しようとするが、
両親が揃ったところで相談したいのでメールだけにした。
 
他の子は来年以降どうするつもりなのか気になったが、
翔子はお金持ちだし、さくらの所も余裕がありそう・・・
ここで思い出したのが絵麻だった。
 
絵麻はドイツで皆から一目置かれる存在になっていた。
難しい振付でもすぐに覚えるので、皆がそれを参考にするほど。
 
それでも満足はしていなかった。
振付を完璧に掴んだという感触が無い。
注意されて直されて、確かに良くなっている自分を鏡で見る。
自己流はダメだ
 
でも闇雲に練習はしない。
昔 右足を骨折した影響で右脚は左脚より少し短い。
そのほんの僅かな歪みが足首に負担をかけていたのだ。
 
だから一回一回のレッスンに集中する。
その方が自分のスタイルにも合っている。
 
絵麻は翔子や奏、さくらの事が気になった。
あの子達 練習量こそが ものをいうと思ってそうだし
 
ここで奏から電話が入る。
進路の話だ。
 
絵麻はこのまま卒業するつもりと言う。
スカラシップを受けて在学するが、それは一部で
残りは祖父が土地を売って代金に充ててくれるらしい。
 
土地を売って支援してくれるのかー
これはこれで期待に添えるために頑張らないといけないから大変だ。
 
通話を終えた奏
うちには売るような土地もないし、
あったとしても売ってもらうわけにはいかない。
頭を悩ます奏に、父親から電話が入る。
 
奏は「どうしても卒業まで この学校で学びたくなったの」
自分の気持ちを正直に父親に伝える。
父親は娘の想いに応えるため、出来るだけのことはすると言う。
 
両親が自分の夢を支えてくれているのは分っている。
でも二人共 バレエ自体には そこまで興味を持っていないのも分っている
 
それなのにお金や時間も費やして
気持ち的には もう充分ってくらい やってもらってる
この上 助けを求めなきゃいけないのは めちゃくちゃキッツい
 
あー 早く プロダンサーになりたいー!!
 
土曜日、ニコルズ先生の補習
エヴリンはいないのでマンツーマンのレッスン。
 
レッスン開始時、珍しくニコルズからアドバイスを受ける奏。
最初は嬉しくなったが、ここで思い出した。
ニコルズ先生は生徒を信頼しているから よっぽどじゃなきゃ口出ししない
 
わ、私 今 よっぽどなんだろうか
進路の事で集中できていなかったのでしょうね。
 
レッスンの後、ニコルズに誘われた奏。
ナショナル・ギャラリーの企画展を観て、
その後、ニコルズの友人の公演も観ようと言われる。
奏に断る理由は無いですよね。
 
ナショナル・ギャラリーに行くと、
有名人のニコルズは周囲の人からサインや写真を頼まれていました。
その様を見ていて、マーゴ・フォンティンの自伝を思い出す。
 
彼女が世界のトップと交流していて凄いって思ったけど
ニコルズ先生自身がスターなんだ
バレエ界や私にとってじゃなくて
 
そしてニコルズは奏を呼び、見せたい絵があると言う。
それはティツィアーノ作「ディアナとアクタイオン」
ティツィアーノは500年ほど前のイタリアの画家だが
ロイヤル・バレエ団とは縁があった。
 
彼の絵画をテーマにした作品を ここで踊って映像化しているのだ。
その話を聞いて、奏は自分も歴史の輪の中にいると気付く。
 
感動している奏。
バレエは周囲の色々なモノと繋がっている。
バレエだけをしていればいいものではない。
 
その事をニコルズに伝えると、ニコルズも同意する。
どんな芸術でも それ単体で存在出来るものはない
 
私も学生時代に それに気付いていれば・・・
 
ニコルズはロイヤル・バレエ・スクールでは優等生だった。
卒業後は そのままロイヤル・バレエ団に入れるものと
当時の自分は信じて疑わなかった。
 
でも選ばれなかった。
トゥールーズのジュニア・カンパニーになんとか入団できて
自分が踊れないものの多さに驚いた。
 
スクールでは古典ばかり踊っていたこともあり、
バランシンはお手上げ、コンテなんてもってのほか
目が覚めた
 
トゥールーズでリューダやウジェーヌとも出会え、
そのお陰で今のニコルズはある。
その後、ロイヤルに移籍出来たし・・・・
でもあれは 本来しなくていい回り道だった
 
プロバレエダンサーのピークは短い
だから
あなたは私が導くよ 奏
回り道をしなくてもいいように
 
ニコルズはトゥールーズに入ったから、
今の自分があるのだから
「しなくていい回り道」という表現はちょっとなーと思うが、
ダンサーのピークが短いという事からも、
できる事なら回り道はしないに越したことは無いという事なのでしょうね。
 
奏をかなり高く評価しているニコルズ。
奏は応える事が出来るでしょうか。